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2022年2月24日
少子化で小学校教諭の需要は少なくなるのか?教員採用試験の状況と教師不足について

今回は、高校1年生から「少子化が進むと小学校教諭にはなりづらくなりますか」という質問を受けたので、そこについて紹介したいと思います。これから就職を考える高校生や転職を考える社会人にとって教員として今後、仕事があるのかということは気になると思います。教師の仕事に関心のある人はぜひ、参考にしてください。

 

少子化で小学校教諭の需要は少なくなるのか?教員採用試験の状況と教師不足について

 

<<目次>>

  1. 少子化が進む日本の人口と小学生
  2. 教員採用試験受験者数と合格者数
  3. 少子化の中でも教師不足は起こっている

1、少子化が進む日本の人口と小学生

【日本の15歳未満の人口と小学生】

総務省の人口推計によると日本の15歳未満の人口は1482万9000人(2021年8月時点)で約1億2500万人いる日本の人口の11.8%を占めているようです。その中で小学生は約622万人(学校基本調査より)で、人口の約5%が小学生です。15歳未満の人口は予測推移だと2025年に1407万人、2030年には1321万人になるようです。

 

子どもの人数が減れば学校の統廃合、学級数の減少など教員の人数を削減する要因になるので、これから小学校教諭や養護教諭、中学・高校の教員を目指したい人は、子どもの人口が減少していることは把握しておきましょう。ただし学校には、最低限配置しなければならない教員と職員が学校教育法をいう法律で定められています。それは校長、教頭、教諭、養護教諭及び事務職員です。極端な例ですが、全校生徒1名の田舎の小学校でも4人の先生と一人の職員はいるわけです。学校には学級担任以外にも必要な教員がいることも併せて覚えておきましょう。

 

また少子化といっても地域によって子どもの人口に差はあるので、子どもの人口が減っているから全ての自治体で教員の数が減るわけではありません。中には子どもの数が増える自治体も出てくる可能性はあります。なので教員採用試験に合格して公立学校で働こうと思ったら、大規模な自治体を受験した方が教師としての需要は高いかもしれません。

 

参考) 令和3年版 少子化社会対策白書

参考) 令和3年度学校基本調査

 

 

2、教員採用試験受験者数と合格者数

【小学校の採用試験合格はしやすくなっている】

令和3年に発表された令和2年度の教員採用試験の概要では、小学校の競争率は2.7倍で受験者44710人のうち16693人採用されました。また、小学校、中学校、高校、養護教諭などの全教員の区分の受験者数は138042人、採用者数は35058人で、競争率は3.9倍でした。全体の採用者数は平成12年に11021人で最低値となり競争率は13.3倍で、その後採用数は上昇傾向あります。少子化はこの間も進んでいるのですが、この期間に採用が増加した要因は、団塊の世代や戦後のベビーブームに生まれた人たちが大量に退職することを想定したことがあります。

 

>>最新の教員採用試験の競争率について知りたい方はコチラ→「教員採用試験の倍率と教員として働く方法」

>>2年間で小学校教諭になりたい方はコチラ→初等課程のコース概要、カリキュラム

 

上記の要因があり少子化が進む中でも小学校教諭の需要は、増加し教職を目指す人には追い風でした。この追い風は令和2年から落ち着きを見せ始めていますが、現在は別の要因が出てきています。それが2022年から段階的に実施される小学校35人学級の導入、産休・育休取得者数の増加、インクルーシブ教育を軸とした特別支援学級や個別支援の増加です。

 

【35人学級と採用者数】

新しく始まる35人学級ですが、2021年現在、公立学校では小学1年生のみ35人学級で、2~6年生は40人学級とするように決められています。基本1学級1教員が担任するため、学級編成の人数が引き下げられることでより多くの小学校教諭が必要となります。例えば2年生のクラスで現在なら36人でも一人の先生で担任できたところを今後は18人、18人で2クラスに分けて学級運営をします。そうすると当然新しい教員が1人必要となるわけです。文部科学省では、35人学級による教員の増加は1万3000人と予測しているようで、今後採用試験でも採用者数が増えることが予想されます。

 

 

3、少子化の中でも教員不足は起こっている

【教員不足とは何か】

少子化が進む日本の人口と小学生」で書きましたが、学校には最低限必要な先生の人数が決められています。さらにこの基準を満たした上で各都道府県等の教育委員会で学校に配置する教師の人数を決めています。今回は各都道府県等の教育委員会の基準に満ちておらず欠員が生じている場合を教員不足として文部科学省の「教師不足」に関する実態調査を基に説明したいと思います。

 

【小学校の教員不足の実態】

令和3年の調査では、全国の小学校教員の定数に対して0.26%の教員不足が生じているようです。教員数では979人、学校数(小学校)では、794校です。横浜高等教育専門学校の卒業生が多く働く横浜市、神奈川県では下記のようになっています。

 

<小学校の教員不足の状況>

  不足人数 不足学校数 不足率
横浜市 12 12 0.13%
神奈川県 45 14 0.52%
全国 979 794 0.26%

 

常勤の教員には教員採用試験で採用された「正規教員」と正規教員と同等の勤務をする「臨時的任用教員(臨任)」がいます。教員不足ではこの臨任の講師の確保もできず、本来学級担任をするべきでない先生が学級担任を担うことになります。ヨコセンの学生も臨任の話をよくもらうので、学校現場では教員集めを積極的に行っているようです。

 

>>横浜高等教育専門学校からの小学校教諭への正規教員・臨任の就職割合はコチラ

>>横浜高等教育専門学校からの養護教諭への正規教員・臨任の就職割合はコチラ

 

このような現状を考えると少子化で子どもの人口が少なくなっていっても、教師の需要はまだまだあると感じます。

 

【教員不足の要因】

教員不足になるのはいくつかあるので代表的なことを紹介します。

  • ●産休・育休取得者の増加
  • ●特別支援学級数が増加
  • ●臨任登録者の減少

 

産休・育休取得者の増加

子育てに対する意識が高まり、産休・育休の制度が色々と改善されています。男性が育児に参加しやすいような職場環境が作られたり、女性と男性が協力して育児をしやすいように2回に分けて育休を取れるようになったりしています。

 

特別支援学級数の増加

今では多くの小学校で特別支援学級が設置されています。特別支援学級では8人で1学級の編成が多いので、教員の数も通常学級より必要になります。近年では発達障害のある子どもは多く、40人学級に2,3人はいるのではないか言われています。

 

臨任登録者の減少

教師を目指す多くの方は、採用試験に不合格だった場合、臨任として登録して、現場経験を積んだ後、再度採用試験を受験するパターンが多いのですが、試験の競争率が下がったことで臨任登録者が正規教員として合格したり他の仕事を求めて民間企業へ就職したりすることで登録者が減少しています。本校の卒業生も学生時代に現役合格に至らない場合でも臨任を1~3年程度続けて試験に合格するパターンがよくあります。

 

参考)令和4年「教師不足」に関する実態調査(文部科学省)

 

以上が、教員不足の代表的な要因です。少子化で子どもが少なくなって、教師の需要も減るという感覚になりやすいですが、意外と現場は教員を必要としているということを知っていただければと思います。

 

以上、少子化で小学校教諭の需要は少なくなるのか。教員採用試験の状況と教師不足について紹介しました。今は一人の教員でとりあえずたくさんの子どもを担任できればよいという時代ではありません。一人ひとり丁寧にサポートしていく、そんな流れがあります。少子化で子どもを受け持つ人数が減ってもそれは、より良い教育をできるチャンスでもあります。これから小学校教諭や他の教員を目指す人は、前向きに捉えてみてください。

横浜高等教育専門学校では2年間で養護教諭・小学校教諭・幼稚園教諭・保育士の免許・資格を取得できる学校です。北海道、沖縄など全国から2年間で免許状を取得しようと考えている高校生や大学生・社会人がたくさん入学しています。ホームページには学生インタビューも掲載しているのでぜひ参考にしてください。また、養護教諭小学校教諭保育士・幼稚園教諭について詳しく知りたい方は、ぜひヨコセンのホームページをご覧ください。

 


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