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「小学校の先生になったら、給料はいくらもらえるんだろう」
進路を考えるとき、必ず気になるところだと思います。
特に、すでに社会に出て働いている方にとっては切実な問題です。
いまの仕事を辞めて学び直すなら、その先の収入がどうなるのかは、はっきりさせておきたい。
当然のことです。
ただ、いざ調べてみると数字がバラバラに出てきます。
「平均年収727万円」と書いてある記事もあれば、「600万円台」と書いてある記事もある。
初任給も自治体によって違う。
どれを信じればいいのかわからなくなります。
さらに2026年、小学校教員の給与は大きな転換点を迎えました。
2025年6月に成立した給特法の改正により、50年以上4%で据え置かれてきた「教職調整額」が引き上げられ、2031年には10%になります。
学級担任への加算や、新しい役職も設けられました。
この記事では、総務省や文部科学省、横浜市などの公表資料をもとに、小学校教員の給与を計算のしかたごと解説します。
全国平均だけでなく、横浜市・東京都・川崎市で実際にいくら支給されるのか、そしてこれまでの社会人経験が給与にどう反映されるのかまで踏み込みました。
読み終えるころには、「自分の場合はどのくらいか」を自分で見積もれるようになっているはずです。
目次

まずは全体像から確認していきます。
ネットで検索すると「小学校教員の平均年収は727万円」という数字をよく見かけます。
ただ、先にお伝えしておきたいことがあります。
この727万円をそのまま公表している役所は、実はどこにもありません。
総務省が発表しているのは、次の2つです。
ここで「35万円×12か月なら423万円のはずでは」と思われたかもしれません。
そのとおりです。
この35万3,000円は、手当を含まない基本給だけの金額だからです。
教員の給与は、この基本給に地域手当や教職調整額などが上乗せされ、さらに年2回のボーナスが加わります。
それらを合計すると、おおむね700万円台になります。
ただし、どの手当をどこまで含めるかによって結果は変わります。
同じ計算をしても700万円台前半になったり、740万円前後になったりする。
727万円という数字も、そうした計算方法のひとつにすぎません。
つまり「平均年収◯◯万円」は、幅のある目安として見るのが正確です。
それより重要なのは、基本給に何がどう積み上がって年収になるのかという構造のほうです。
この記事では、そこを分解していきます。
[補足]記事によって金額が違う理由
平均年収が600万円台と書かれている記事と、700万円台と書かれている記事があります。
これは調査年度の違いに加えて、「平均給料月額(基本給のみ)」で計算したのか、「平均給与月額(手当込み)」で計算したのかが違うためです。
この2つには月あたり10万円近い差があります。
数字を比べるときは、どちらのベースかを確認してみてください。
すでに働いている方にはおなじみだと思いますが、教員の給与は構成が独特なので、前提をそろえておきます。
月給……基本給に、地域手当・教職調整額・住居手当などを加えた、毎月支給される金額です。
年収……月給の12か月分に、年2回のボーナス(期末手当・勤勉手当)を足した金額です。
求人情報や統計に出てくるのは基本的にこれです。
手取り……月給や年収から、所得税・住民税・社会保険料を差し引いた金額です。
生活設計で使うのは手取りです。
目安として、手取りは額面のおよそ75〜80%。
月給30万円なら手取りは22万〜24万円程度になります。
なお公立学校の教員は公務員なので、健康保険ではなく共済組合に加入します。
掛金の率は健康保険とほぼ同水準なので、手取りの割合は民間企業と大きくは変わりません。
比較の基準を確認しておきましょう。
国税庁の令和6年分の調査によると、1年を通じて働いた人の平均年収は478万円でした。
過去最高です。
雇用形態別では、正社員が545万円、正社員以外が206万円となっています。
小学校教員の平均を700万円台とすると、正社員の平均より150万円以上高い計算です。
ただし、この比較には3つの注意点があります。
① 年齢層が違う
教員の平均年齢は41.5歳です。
一方、民間の平均には20代から60代まで幅広く含まれます。
年齢が上がるほど給与も上がるため、単純比較では教員側が高く出やすくなります。
② 1年目の差は、実はそれほど大きくない
後述しますが、小学校教員1年目の給与は横浜市の場合で月32万7,000円ほど。
年収にすると約510万円です。
民間の正社員平均が545万円ですから、スタート時点では民間平均をやや下回るとも言えます。
では、なぜ平均で大きな差がつくのか。
答えは次の点にあります。
③ 上がり方の性質が違う
民間企業では、業績や個人の成果によって収入が大きく伸びる可能性があります。
ただし、業績が悪化すれば下がることもあります。
一方、公立小学校の教員は地方公務員として給料表にそって給与が決まります。
急に跳ね上がることはない代わりに、景気に左右されず、毎年着実に上がっていきます。
実際、横浜市のモデルでは1年目約510万円が20年後には約818万円まで上がります。
「スタートは民間と大差ない。ただし長く続けるほど差が開いていく」——これが小学校教員の給与の特徴です。

小学校教員の給与は、勤務先が個別に決めるものではありません。
「教育職給料表」という表にそって決まります。
この仕組みを理解しておくと、自分の給与をある程度自分で計算できるようになります。
転職を検討するうえでは重要な部分なので、順に見ていきましょう。
教育職給料表は、「職務の級」(役職)と「号給」(経験)の2つの軸で基本給が決まる仕組みです。
職務の級=役職の位置づけ
東京都の場合、次のようになっています。
| 級 | 役職 |
|---|---|
| 1級 | 講師・実習助手など |
| 2級 | 教諭(一般の教員) |
| 3級 | 主任教諭 |
| 4級 | 主幹教諭 |
| 5級 | 副校長 |
| 6級 | 校長 |
教員採用試験に合格して正規教員になった場合も、臨時的任用職員として勤務する場合も、該当するのは2級です。
ここから昇任選考に合格することで、3級・4級と上がっていきます。
なお2026年度からは、2級と4級の間に「主務教諭」という新しい職が設けられます(後述します)。
号給=経験に応じて上がる数字
同じ2級の教員でも、1年目と20年目では給与が違います。
その差を表すのが号給です。
ここが公立学校教員の給与の、最も安定している部分です。
号給は毎年見直され、標準的には年に+4号給上がります。
東京都の場合、+4号給されると基本給が月6,500円ほど増えます。
月6,500円ということは、年間で約8万円。
しかもこれが毎年積み上がります。
さらに、基本給が上がると連動して地域手当も教職調整額もボーナスも増えます。
したがって実際の年収の伸びは、8万円よりも大きくなります。
昇進しなくても、勤続するだけで給与が上がり続ける。
この点は、昇給が業績に左右される民間企業との明確な違いです。
すでに働いている方にとって、ここが最も重要な部分です。
採用時の号給は、全員が同じスタートではありません。
それまでの学歴や職歴に応じて号給が加算されます。
これを「前歴換算」といいます。
つまり、いまの仕事で積んだ経験は、教員に転職しても給与に反映されるということです。
ゼロからやり直しにはなりません。
目安としては、大学を出て23歳で採用された場合が2級9号給あたり。
社会人経験は1年あたりおよそ4号給として加算されていきます。
号給が4上がれば月6,500円ほどの差になりますから、社会人経験3年なら月2万円前後、経験が長ければさらに大きな差になります。
実際、横浜市が公表している給与モデルを見ると、この効果がはっきり表れています。
同じ1年目でも、社会人経験があるほうが月5万円以上高いのです。
年収にすると80万円以上の差になります。
なお、換算の対象になる職歴の種類や換算率は自治体ごとに基準が定められています。
ご自身の経歴がどう評価されるかは、志望する自治体の教育委員会に問い合わせると確認できます。
[補足]前歴換算は臨時的任用職員でも適用されます
教員採用試験の合格前に、臨時的任用職員として教壇に立つ道もあります。
その場合も学歴・職歴に応じて号給が決まるため、社会人経験は同じように反映されます。
詳しくは後述します。
「教員には残業代が出ない」と聞いたことがあるかもしれません。
これは事実です。
公立学校の教員には、給特法という法律によって時間外勤務手当が支給されません。
そのかわりに支給されるのが「教職調整額」です。
実質的な、みなし残業代にあたります。
この額は長らく基本給の4%で固定されていました。
制度ができたのは1971年。
50年以上、一度も改定されませんでした。
そしてついに、2025年6月の給特法改正で引き上げが決まりました。
| 時期 | 教職調整額 |
|---|---|
| 〜2025年12月 | 4% |
| 2026年1月〜 | 5%(現在ここ) |
| 2027年〜2030年 | 毎年1%ずつ引き上げ(6%→7%→8%→9%) |
| 2031年1月〜 | 10% |
すでに2026年1月から5%への引き上げが実施されています。
金額で見てみます。
基本給30万円の場合、
加えて、教職調整額は後述する地域手当の計算にも含まれるため、実際の増額はこれより大きくなります。
あわせて働き方も見直されます
今回の改正は、支給額の話だけではありません。
「支給を増やす」と「労働時間を減らす」を同時に進める制度改正です。
長時間労働への懸念から教職を迷っている方にとっては、判断材料のひとつになるはずです。
本校の卒業生の受け止め方
教職調整額について、本校を卒業して教員になった方から、こんな話を聞いたことがあります。
「支払われる額が決まっているから、逆に仕事はこの時間までに終わらせようと考えている」
残業代が出ないことを不満に感じるのではなく、時間内に終える意識に変えているという話でした。
制度の受け止め方は人それぞれですが、こうした考え方もあります。
今回の改正では、教職調整額以外に2つの処遇改善が盛り込まれました。
① 「主務教諭」の新設(2026年度〜)
これまで、教諭(2級)の次のステップは主幹教諭(4級)でした。
この間の隔たりが大きく、若手が昇任を実感しにくい構造になっていました。
そこで新たに設けられるのが「主務教諭」です。
校務の調整役を担う職で、月額でおよそ6,000円高い処遇が予定されています。
昇任のステップが1段増えることで、若いうちから給与が上がる機会が広がります。
② 学級担任への加算(月3,000円)
学級担任を受け持つ教員に対して、月額3,000円が加算されます。
負担の大きい担任業務を評価する趣旨の措置です。
これはすでに運用が始まっています。
横浜市では、臨時的任用職員として勤務する場合でも、学級担任には月3,000円が加算されることが公表資料に明記されています(令和8年1月〜)。
東京都はさらに細かく、学級担任に月3,000円、複数教員で担任を分担する場合に月2,000円、担任を補助する職務に月1,000円という区分が設けられています。
この2つはまだ多くの記事で触れられていない最新の制度です。
給与を比較検討する際は押さえておいてください。

小学校教員の給与は、「基本給」+「手当」で構成されています。
ここまで基本給を見てきましたが、年収を大きく左右するのはむしろ手当のほうです。
ここからは実額とともに整理していきます。
小学校教員に関係する手当は、次の8つです。
| 重要度 | 手当 | 内容 |
|---|---|---|
| ★★★ | 地域手当 | 勤務地に応じて支給。金額が最も大きい |
| ★★★ | 教職調整額 | 残業代に代わる手当。2026年1月から5% |
| ★★★ | 義務教育等教員特別手当 | 小中学校の教員に支給 |
| ★★ | 扶養手当 | 扶養家族がいる場合に支給 |
| ★★ | 住居手当 | 家賃を支払っている場合に支給 |
| ★★ | 通勤手当 | 通勤にかかる費用に応じて支給 |
| ★ | 特殊勤務手当 | 特別な業務に従事した場合に支給 |
| ★ | 管理職手当 | 校長・副校長・教頭に支給 |
まず押さえるべきは上の3つ(地域手当・教職調整額・義務教育等教員特別手当)です。
この3つは条件を問わず全員に支給され、しかも金額が大きい。
自治体が「初任給は月32万7,000円」と発表しているとき、その金額にはこの3つがすでに含まれています。
求人情報を読むときに知っておくと、金額の意味を正しく理解できます。
地域手当は、勤務地の物価や民間賃金の水準に応じて支給される手当です。
都市部ほど割合が高くなります。
計算式は次のとおりです。
(基本給 + 教職調整額 + 扶養手当 + 管理職手当)× 支給割合
支給割合は自治体によって異なります。
| 勤務地 | 支給割合 |
|---|---|
| 東京都(23区・多摩地区) | 20% |
| 横浜市 | 16% |
| 川崎市 | 16% |
| 東京都(都外地区) | 12% |
[注意]神奈川県内で勤務する場合
神奈川県内でも、支給割合は市町村によって異なります。
横浜市・川崎市・相模原市は政令指定都市として市の条例で16%が適用されますが、それ以外の市町村立小学校では割合が変わります。
志望先の条例を確認しておくことをおすすめします。
実際に計算してみる
基本給30万円、扶養家族なし、役職なしの教員を例に、横浜市と東京都23区で比較します。
まず教職調整額(5%)
300,000円 × 5% = 15,000円
次に地域手当
差は月12,600円、年間で約15万円です。
同じ職務内容でも、勤務地が違うだけでこれだけの差が生まれます。
さらに地域手当が増えるとボーナスの算定にも影響するため、実際の年収差はもう少し広がります。
就職先を検討する際は、必ず確認しておきたい項目です。
義務教育を担う教員に支給される手当です。
小学校は義務教育にあたるため、小学校教諭も対象になります。
金額は職務の級と号給によって変わりますが、東京都の場合、2級1号給(採用時のスタート地点)で月額2,270円が目安です。
そして前述のとおり、2026年からは学級担任に月3,000円が加算されます。
担任を持つかどうかで確実に差がつく部分です。
校長・副校長・教頭に昇任した際に支給される手当です。
東京都の場合、副校長・教頭で月額80,700円、校長で月額104,500円です。
管理職になると職務の級も5級・6級へ上がるため、基本給の上昇と管理職手当が同時に効きます。
さらに管理職手当は地域手当の計算にも含まれるため、昇任による年収の伸びはかなり大きくなります。
※金額は年度の給与改定により変わることがあります。
最新額は各自治体の公表資料をご確認ください。
通常の教員業務とは異なる勤務に従事した場合に支給される手当です。
小学校教諭が該当する場面は限られますが、「教員特殊業務手当」には、非常災害時の緊急業務のほか、修学旅行や対外運動競技等の引率指導業務が含まれます。
宿泊行事や大会の引率を担当した際に支給対象となる可能性があります。
この3つは、家族構成・住まい・通勤経路によって金額が変わります。
自治体ごとに規定が異なるため、代表例を挙げます。
横浜市の場合
| 手当 | 金額 |
|---|---|
| 扶養手当 | 対象者1人あたり 月6,500〜15,000円 |
| 住居手当 | 30歳未満 月28,000円/40歳未満 月19,600円 |
| 通勤手当 | 月55,000円を限度 |
川崎市の場合
扶養手当は配偶者7,000円、22歳未満の子10,000円、父母等7,000円。
住居手当は年齢に応じて10,000円〜25,200円。
通勤手当は電車利用の場合、月150,000円を限度としています。
ひとつあたりの金額は大きくありませんが、住居手当と扶養手当は毎月確実に支給される固定収入です。
たとえば横浜市で30歳未満・ひとり暮らしの場合、住居手当だけで月28,000円。
年間では約34万円になります。
家賃負担を考えるうえで、無視できない金額です。

ここまでは給与の仕組みを見てきました。
ここからは、実際にいくら支給されるのかを具体的な数字で確認していきます。
例として使うのは横浜市です。
本校の卒業生が最も多く就職している自治体であり、給与モデルを詳しく公表しているためです。
横浜市が公表している、採用1年目の給与モデルです。
| 学歴・社会人経験 | 給与月額 | 年収 |
|---|---|---|
| 短期大学卒 | 約303,000円 | 約473万円 |
| 大学新卒 | 約327,000円 | 約510万円 |
| 修士課程修了 | 約350,000円 | 約546万円 |
| 大学卒+教員経験5年 | 約365,000円 | 約569万円 |
| 大学卒+民間企業10年 | 約381,000円 | 約594万円 |
| 大学卒+教員経験20年 | 約445,000円 | 約694万円 |
※給与月額には地域手当・教職調整額・義務教育等教員特別手当が含まれます。
年収には期末・勤勉手当(ボーナス)も含まれています。
扶養手当・住居手当・通勤手当の有無により、実際の支給額は変わります。
この表で注目していただきたいのは、社会人経験の有無で1年目の金額が大きく違う点です。
大学新卒が月327,000円なのに対し、民間企業で10年働いてから採用された場合は月381,000円。
その差は月54,000円、年収では84万円になります。
前述した「前歴換算」が、そのまま数字に表れています。
これから学び直しを考えている方にとっては、これまでの職歴が採用初年度から評価されるという事実を、ぜひ押さえておいてください。
なお、東京都でも学歴・経歴に応じて初任給が変わる仕組みは同じです。
細かい金額は自治体ごとに異なるため、志望先の実施要綱や採用サイトで確認することをおすすめします。
前述のとおり、基本給は毎年約6,500円ずつ上がります。
これを長期で見るとどうなるのか。
横浜市が公表している、大学新卒で採用された場合の標準的な昇給モデルがこちらです。
| 勤続年数 | 年収 |
|---|---|
| 採用1年目 | 約510万円 |
| 10年後(30代前半) | 約706万円 |
| 20年後(40代前半) | 約818万円 |
10年で約196万円、20年で約308万円。
年収が1.6倍になる計算です。
しかもこれは、主任教諭や管理職への昇任を含まない「標準的な昇給」のモデルです。
昇任すれば、これ以上の伸びが期待できます。
「小学校教員の給与はスタートでは民間と大差ないが、長く続けるほど差が開く」と書いたのは、この構造があるためです。
民間企業の平均年収478万円、正社員平均545万円と比べると、10年目以降の水準の高さがはっきりします。
30代・40代というのは、住宅の購入や子どもの教育費など、支出が増えていく時期でもあります。
その時期に収入が確実に上がっていく見通しが立つことは、公立学校教員という職業の大きな強みです。
公表されているモデルは「標準的な場合」の数字です。
では、実際に働いている人はどう感じているのか。
大学卒業後に本校へ入学し、私立小学校での勤務を経て、神奈川県の教員採用試験に合格。
現在は正規の小学校教諭として勤務している卒業生に話を聞きました。
【プロフィール】20代・男性・既婚・扶養家族なし
経歴:大学 → 横浜高等教育専門学校 → 私立小学校教諭 → 神奈川県小学校教諭(現在1年目)
Q1. 毎月の給与はどのくらいですか?
A. 額面で約28万円です。
(※取材時点。手取りは控除の内容により変わります)
Q2. 残業はどのくらいしていますか?
A. 月に40時間程度です。
だいたい7時30分に出勤して、18時30分から19時ごろに退勤しています。
Q3. 貯蓄や資産運用はしていますか?
A. 積立NISAを毎月3万円と、それ以外でも貯蓄をしています。
Q4. いまの生活レベルで給料は足りていますか?
A. 生活においては問題ありません。
ただ、もっともらえていれば買いたいものや、自分の経験のために使いたいという気持ちはあります。
Q5. 小学校教諭の給与について、率直にどう思いますか?
A. 教員は残業代という概念がないので、仕事量に比べて少し少ないと感じるのが正直なところです。
ただ、毎年昇給して給料はしっかり上がっていくので、生活レベルを上げなければ自然とお金は増えていくと思います。
この話から読み取れること
Q5の答えが、小学校教員の給与を最もよく表していると思います。
「仕事量に比べると少ない」と感じる一方で、「毎年しっかり上がる」という実感がある。
この2つは矛盾しません。
1年目の時点だけを切り取れば負担に見合わないと感じることがあっても、10年、20年という単位で見れば着実に積み上がっていく。
それが公立学校教員の給与です。
もうひとつ注目したいのが、1年目から毎月3万円の積立投資をしている点です。
給与水準そのものより、「収入の見通しが立つこと」が計画的な資産形成を可能にしているとも言えます。
なお、このインタビューは教職調整額が4%だった時期のものです。
2026年1月から5%に引き上げられているため、現在は同じ条件でも支給額が増えています。

小学校で働く方法は、正規教員だけではありません。
教員採用試験に合格する前でも、教壇に立つ道があります。
社会人から教員を目指す場合、この選択肢を知っているかどうかで進み方が大きく変わります。
ここで整理しておきましょう。
| 項目 | 正規教員 | 臨時的任用職員(臨任) | 非常勤講師 |
|---|---|---|---|
| 採用試験 | 合格が必要 | 不要(登録制) | 不要(登録制) |
| 給与形態 | 月給制 | 月給制 | 時給制 |
| 勤務時間 | 週38時間45分 | 週38時間45分 | 週29時間以内(横浜市) |
| 学級担任 | 担当する | 担当することがある | 担当しない |
| ボーナス | あり | あり(要件あり) | あり(要件あり) |
| 退職手当 | あり | あり(7か月以上の任用) | なし |
| 住居・扶養手当 | あり | あり | なし |
| 雇用の安定性 | 高い | 任用期間の定めあり | 任用期間の定めあり |
※横浜市の例。
自治体により異なります
ポイントは、臨時的任用職員(臨任)は給与も勤務内容も正規教員とほぼ同等だという点です。
一方、非常勤講師は時給制で、勤務時間を自分で調整しやすい働き方になります。
臨時的任用職員は、産休・育休や病気休職などで欠員が出た際に任用される常勤の教員です。
教員採用試験に合格していなくても、免許があれば登録して働けます。
横浜市が公表している月額給与は次のとおりです(令和8年1月時点)。
| 学歴 | 月額給与 |
|---|---|
| 大学卒 | 約327,000円 〜 508,000円 |
| 短期大学卒 | 約303,000円 〜 498,000円 |
※教職調整額・地域手当・義務教育等教員特別手当を含む。
学歴・職歴により初任給が決定されます
※学級担任を担当する場合は、月3,000円が加算されます(令和8年1月〜)
大学卒で約327,000円。
前述した正規教員の初任給モデルとまったく同じ金額です。
ここが臨任の大きな特徴です。
さらに、待遇面も正規に準じています。
そして重要なのが、この期間の勤務経験は前歴換算の対象になるということです。
臨任として働いた経験は、後に正規教員として採用された際の号給に反映されます。
つまり臨任は、採用試験の勉強をしながら、正規と同水準の収入を得て、しかも将来の給与にもつながる経験を積める働き方です。
教員採用試験の合格を目指す方にとって、メリットは非常に大きいと言えます。
※ただし、任用期間には定めがあります。
本務者が復職した時点で任用が終了する場合もあるため、継続は保証されていません。
非常勤講師は、担当する授業時間に応じて報酬が支払われる働き方です。
1日単位ではなく時間単位で勤務するため、他の仕事や家庭と両立しながら教育現場に関わりたい方に選ばれています。
ここで押さえておきたいのが、自治体によって報酬の決め方がまったく違うことです。
東京都——経験年数で時給が上がる方式
東京都の時間講師は、教育職員としての経験年数によって時間額が細かく設定されています。
| 教育職員としての経験年数 | 時間額 |
|---|---|
| 1年未満 | 2,030円 |
| 1年以上2年未満 | 2,110円 |
| 2年以上3年未満 | 2,180円 |
| 3年以上4年未満 | 2,250円 |
| 4年以上5年未満 | 2,330円 |
| 5年以上6年未満 | 2,400円 |
| 6年以上7年未満 | 2,490円 |
| 7年以上8年未満 | 2,590円 |
| 8年以上9年未満 | 2,690円 |
| 9年以上10年未満 | 2,800円 |
| 10年以上11年未満 | 2,880円 |
| 11年以上12年未満 | 3,000円 |
| 12年以上13年未満 | 3,110円 |
| 13年以上14年未満 | 3,210円 |
| 14年以上15年未満 | 3,300円 |
| 15年以上16年未満 | 3,410円 |
| 16年以上17年未満 | 3,520円 |
| 17年以上 | 3,630円 |
勤務時間は1日8時間以内・週26時間以内。
通勤報酬は1日2,600円を上限に支給されます。
要件を満たせば期末・勤勉手当も支給されます。
横浜市——経験年数を問わず一律
一方、横浜市は経験年数にかかわらず時給が一定です。
| 区分 | 時給 |
|---|---|
| 非常勤講師(病休等の代替、専科担当、育児短時間の後補充など) | 2,712円 |
| サポート非常勤講師(チームティーチングによる支援) | 2,384円 |
| 養護教諭 | 2,712円 |
| 学校栄養職員 | 1,788円 |
勤務時間は1日7時間以内・週29時間以内。
通勤手当相当分は月55,000円を上限に支給され、要件を満たせば期末・勤勉手当もあります。
2つを比べるとわかること
この2つを並べると、はっきりした違いが見えてきます。
経験9年目までは横浜市のほうが時給が高く、9年を超えると東京都が上回ります。
東京都は1年未満で2,030円。
横浜市の2,712円と比べると、その差は時給682円です。
週29時間働けば週約2万円の差になります。
教員経験が浅いうちは、横浜市のほうが条件がよいということです。
逆に長く続けるなら東京都です。
17年以上で3,630円まで上がるため、横浜市の2,712円を大きく超えます。
非常勤講師として働くことを検討している方は、勤務先を選ぶ際の判断材料にしてください。
時給がわかったところで、年収の目安も見ておきましょう。
横浜市で、週29時間(上限いっぱい)勤務した場合を計算します。
これに期末・勤勉手当が加わります。
ここで必ず知っておいていただきたい注意点があります。
① 長期休業中は原則として勤務がありません
夏休みや冬休みの期間は授業が行われないため、非常勤講師の勤務は基本的にありません。
時給が高くても、年間を通じた収入は正規教員や臨任には届かないということです。
上の計算で年間52週ではなく35週で計算しているのは、このためです。
② 支給されない手当があります
横浜市の場合、非常勤講師には住居手当・扶養手当・特殊勤務手当が支給されません。
退職手当もありません。
③ 任用の継続は保証されていません
本務者が復職した時点で任用理由がなくなるため、期間の途中で終了する場合があります。
つまり非常勤講師は、時給の高さと働き方の自由度が魅力である一方、収入の安定性では正規教員や臨任に劣る働き方です。
この違いを理解したうえで選ぶことが大切です。
一方で、非常勤講師には見逃せない利点があります。
東京都では経験17年以上で時給3,630円。
一般的な時給の仕事と比べると、かなり高い水準です。
そして2022年7月に教員免許の更新制が廃止され、一度取得した免許は生涯有効になりました。
このため、定年後も非常勤講師として教壇に立ち続ける方が増えています。
また横浜市の「サポート非常勤講師」は、中学校・高等学校の免許しか持っていない方でも、小学校で勤務できる制度です。
授業のサポートを担当する役割のため、免許の種類が問われません。
年齢を重ねても続けられ、ライフステージに合わせて働き方を変えられる。
これは、他の職業にはなかなかない特徴です。

ここまで数字を見てきました。
最後に、経済面と精神面の両方から整理します。
小学校教員の給与を1年目だけで判断すると、「民間と大きくは変わらない」という結論になります。
実際、横浜市の初任給約510万円は、民間の正社員平均545万円を下回ります。
しかし、次の要素を加えると評価が変わります。
① 毎年確実に昇給する
標準的な昇給だけで、10年後に約706万円、20年後に約818万円。
景気や業績に左右されません。
② ボーナスが安定して支給される
横浜市で年4.65月分、川崎市で年4.6月分(いずれも令和7年度実績)。
自治体の条例で決まるため、支給の有無に不安がありません。
③ 退職手当がある
勤続年数に応じて支給されます。
臨時的任用職員でも、任用期間が7か月以上あれば対象になります。
④ 教職調整額が10%まで引き上げられる
2026年1月に5%となり、2031年には10%へ。
基本給30万円なら、月18,000円の増額に相当します。
⑤ 免許は生涯有効で、経験は資産になる
更新制が廃止されたため、一度取得すれば失効しません。
ブランクがあっても復帰でき、非常勤講師という形で長く働き続けられます。
単年の金額ではなく、30年・40年という単位で見たときの安定性。
これが小学校教員の給与の本質的な価値です。
給与の話をするなら、負担についても正直に触れておく必要があります。
先ほどの卒業生も「仕事量に比べて少し少ないと感じる」と話していました。
実際、残業は月40時間程度あります。
文部科学省の教員勤務実態調査でも、授業準備や学校行事、保護者対応、事務作業などが負担として挙げられています。
同時に同調査では、授業や子どもの成長に関わる業務は、やりがいを感じる度合いが高いことも示されています。
授業準備や学校行事のように、負担とやりがいの両方が大きい業務があることも特徴です。
つまり「大変さ」と「やりがい」は、別々のものではなく同じ仕事の両面にあります。
若いうちは、自分の指導スタイルを確立する過程で、子どもと向き合う以外の時間も増えます。
「給料と見合っていない」と感じる場面もあるかもしれません。
それでも、子どもの成長を間近で見られること、子どもたちから返ってくる反応。
これは他の職業ではなかなか経験できないものです。
給与だけで職業を選ぶ人は多くありません。
ただ、給与を正確に知ったうえで選ぶことは、長く続けるためにとても大切です。
この記事がその判断材料になれば幸いです。
最後に、今後の見通しについて触れておきます。
2025年の給特法改正では、給与の引き上げと同時に、働き方の改善も制度として盛り込まれました。
長時間労働が課題であることは、国も認めています。
そのうえで、処遇の改善と労働時間の削減を同時に進める方向へ、制度は明確に動き始めました。
これから教員を目指す方は、変わる前ではなく、変わった後の制度で働くことになります。
数年前の情報だけで判断せず、最新の制度を踏まえて考えてみてください。

ここまで読んで、小学校教員という仕事に関心を持たれた方へ。
最後に、本校についてご紹介します。
横浜高等教育専門学校(ヨコセン)では、最短2年間で小学校教諭二種免許状の取得を目指せます。
1年次から教育原理や各教科の指導法といった基礎を学び、模擬授業や教育実習を通じて、現場を想定した実践的な力を身につけていきます。
そして本校の特徴は、教員採用試験の対策を1年次から実施していることです。
筆記試験、小論文、面接、模擬授業を段階的に学習し、免許取得と採用試験合格の両方を見据えたカリキュラムになっています。
本校には、高校を卒業してすぐの方だけでなく、社会人を経験してから入学する20代〜40代の方が多く在籍しています。
「今から目指すのは遅いのでは」と思われるかもしれませんが、この記事で見てきたとおり、社会人経験は前歴換算によって採用初年度の給与に反映されます。
これまでのキャリアは、無駄にはなりません。
卒業生は神奈川・東京をはじめ、全国各地の教育現場で活躍しています。
学校選びで大切なのは、カリキュラムの内容だけではありません。
実際の授業の様子、学校の雰囲気、教員や在校生との距離感を、自分の目で確かめることです。
本校のオープンキャンパスでは、以下の内容をご案内しています。
「学費はどのくらいかかるのか」「仕事を辞めて通えるのか」「同年代の入学者はいるのか」——不安に感じていることを、直接ご相談いただけます。
小学校教員という進路を検討されている方は、ぜひ一度キャンパスに足を運んでみてください。
この記事の内容を整理します。
小学校教員の給与は、初任給の金額だけを見ると特別に高いわけではありません。
しかし、毎年確実に昇給し、免許は生涯有効で、経験は必ず給与に反映される。
長い目で見たときの安定性は、他の職業にはない強みです。
そして2026年、制度は改善の方向へ動き始めました。
小学校教員という進路を考えている方にとって、この記事が判断の材料になれば幸いです。
本記事の数値は、次の公的資料に基づいています(2026年8月時点)。
平均年収・平均給与
給特法改正(教職調整額・主務教諭・学級担任加算・働き方改革)
教員の勤務実態・やりがい
東京都の給与・手当・時間講師
横浜市の給与・手当・臨任・非常勤講師
川崎市の給与・手当
本校について