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子どもたちの体調不良に対応するだけが、保健室の先生の仕事ではありません。学校という集団生活の場で、児童の健康や安全を見守り、心の不調にも寄り添いながら支える。それが「養護教諭」の役割です。応急処置や健康管理、保護者・教職員との連携、さらには保健教育や予防的支援まで、その業務は多岐にわたります。
そこで今回は、養護教諭の1日のスケジュールや仕事内容をはじめ、必要な資格や進路、公務員としての働き方まで、幅広くわかりやすく解説していきます。養護教諭を目指す方はもちろん、仕事内容に興味のある方も、ぜひ参考にしてみてください。
目次

養護教諭(いわゆる保健室の先生)は、児童の健康管理や応急処置だけでなく、日々の観察や保健教育、保護者・教職員との連携など、幅広い業務を担っています。ここでは、小学校における養護教諭の1日のスケジュールを時間ごとにまとめて紹介します。どのような場面で、どのような役割を果たしているのかを、具体的にイメージしてみましょう。
▼養護教諭の一般的な一日の流れ
| 時間 | 項目 | 詳細 |
| 7:45~8:15 | 出勤・健康観察の準備 | 体温計や保健日誌、養護用品の準備。保健室の掃除や換気先生方や登校指導中の児童の様子確認 |
| 8:15~8:30 | 登校時間・健康観察 | 登校児童の体調不良チェック(登校直後の不調訴えなど)アレルギー・持病のある児童の状況確認教員との情報共有(発熱・ケガなど) |
| 8:30~12:00 | 授業中:来室対応・記録・保健教育準備 | 体調不良・ケガの対応(頻繁に来室あり)心の相談・トラブル対応応急処置・保護者連絡保健だよりや掲示物作成保健授業の準備(学年により) |
| 12:00~13:00 | 給食・休み時間対応 | アレルギー対応(誤食防止)食中毒や異変への即時対応、昼休みのケガ・体調不良対応(多忙な時間帯) |
| 13:00~15:00 | 午後の授業・校内業務 | 健康診断の準備・記録(春〜初夏)担任との情報交換(保健指導の連携)給食室やトイレなどの環境衛生管理 |
| 15:00~16:30 | 下校対応・記録整理・打ち合わせなど | 下校時の対応・保護者連絡、保健室利用記録・保健日誌記入翌日の準備・備品補充 |
| — | 季節によって変わる仕事 | 春:健診・身体測定・保健だよりでの健康管理、夏:熱中症対策・プール時の体調管理、秋:感染症対策・健康教育週間、冬:乾燥対策・マスク・手洗い指導強化 |
登校時に行われる「朝の健康観察」は、児童の体調や表情の変化にいち早く気づくための大切な時間です。担任の先生が一人ひとりの様子を見ながら、欠席や遅刻の理由を確認することで、その日の健康状態をしっかり把握できます。
こうして記録された情報は、養護教諭によって集計・分析され、必要に応じて他の先生方とも共有されます。体調不良の兆候や心の不調なども早期に見つけやすくなり、クラス全体の健康管理にも役立ちます。
また、授業中の様子や家庭での変化など、担任と養護教諭がお互いに情報を伝え合うことで、より多角的に児童の状態を見守ることができます。もし保健指導が必要なケースがあれば、家庭への連絡や医療機関との調整も視野に入れながら、学校全体でサポートしていきます。
授業中に子どもが机から転倒してケガをしたり、「頭が痛い」「気持ち悪い」と訴えて保健室を訪れたりすることは、決して珍しくありません。そんなときに、頼りになるのが養護教諭の存在です。
出血や打撲があれば、清潔なガーゼや氷枕で適切に処置を行い、必要に応じて安静にさせます。少し休んで回復が見られれば教室に戻れるかを見極め、状態によっては保護者へ連絡して医療機関の受診を促すこともあります。
また、病院や学校医からの指示があれば、それに基づいて的確に対応するのも養護教諭の重要な仕事です。体調が優れないまま教室に戻るのではなく、保健室でしっかりと様子を見る時間を設けることや、必要に応じて早退や救急搬送の判断も行います。
こうした一連の応急対応は、子どもの安心・安全を守るうえで欠かせない午前中の大切な業務です。
昼休みは、子どもたちが気軽に保健室へ立ち寄りやすい時間帯です。外遊びで疲れたときや軽いケガをしたときだけでなく、「なんとなく来た」といった理由で訪れる子どももいるでしょう。こうした来室者に対しては、養護教諭が体温測定や自覚症状の確認など、簡単な健康チェックを行い、必要に応じて対応を記録します。
また、「理由はないけれど来室した」ように見える子どもの中には、実は心の不調があるケースもあります。そこで、日々の記録をもとに担任や保護者と連携を図りながら、早期の気づきや継続的な見守りへとつなげていくことが大切です。
午後の時間帯は、午前中に対応した来室記録や健康観察データの整理・入力がメインになります。保健室を訪れた児童の症状や対応内容を丁寧に記録し、統計的にまとめることで、日々の健康傾向を把握する手がかりになります。
さらに、児童や保護者への情報提供に向けて、保健だよりの原稿作成や保健指導用のプリント、掲示物づくりなどの準備も欠かせません。こうした資料は、季節の感染症対策や心の健康への啓発などに活用され、児童の健やかな生活を後押しします。
加えて、学校行事に向けた保健面での事前準備も重要です。救護体制の確認や必要な物品のチェック、教職員との打ち合わせなどを行い、安全に行事が実施できるようサポート体制を整えていきます。イベントが近づくと、救急セットの配置や連絡体制の再確認なども行われ、万が一に備えた準備も抜かりなく進められます。

看護師としての経験は、養護教諭の仕事においても大きな力を発揮します。ここでは、看護師としてのスキルが養護教諭にどのように活かせるのかを具体的に見ていきましょう。
養護教諭として働くうえで、子どもの顔色や動きのちょっとした変化に気づける「観察力」は欠かせないスキルです。登校時の健康観察や保健室での対応中に、いつもと違う様子を素早くキャッチできれば、体調不良やケガの兆候をいち早く察知し、早期のケアにつなげることができます。
特に注意したいのは、重症化のリスクがあるケース。何気ない症状も「大丈夫だろう」と判断せず、冷静に見極めて対応できる「判断力」が求められます。
看護師としての現場経験がある方は、緊急時の対応に慣れているだけでなく、応急処置の正確さや落ち着いた対応力も備わっているため、子どもたちに安心感を与える存在になれます。例えば、顔面の蒼白や冷や汗、ぼんやりした表情など、見落としやすいサインにも気づける力は大きな強みです。
子どもの体調や行動に変化があったときには、相手の理解度や立場を踏まえて、丁寧でわかりやすい言葉で伝える力も求められます。特に保護者対応では、不安を和らげるような言葉遣いや、専門用語をかみ砕いて説明する工夫が大切です。
また、教職員との信頼関係が築けていれば、日々の情報共有や支援体制の整備がスムーズに進み、子どもが安心して過ごせる環境づくりにもつながります。
看護師として身につけた緊急時の対応力や冷静な判断力は、養護教諭として働くうえでも大きな武器になります。学校では、急な体調不良や事故など、予想外の出来事が日常的に起こります。そんなときに医療現場で鍛えた観察力や判断力があれば、応急処置や病院受診の判断も的確に行えるでしょう。
特に、看護師出身の養護教諭は「焦らず落ち着いた対応ができる人」として、子どもだけでなく保護者や教職員からの信頼も厚いのが特徴です。また、現場で多くの症例に触れてきた経験を通じて、顔色や発汗、表情などわずかな異変にも素早く気づける観察眼も備わっています。
こうした対応力は、子どもたちの健康と安全を守るうえで欠かせない要素です。
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子どもと接する際に欠かせないのが、「一人ひとりを丁寧に見る姿勢」です。ここでは、子どもとの関わり方で意識したい「寄り添い方」や「自己肯定感の育て方」について詳しく解説します。
子どもの気持ちに寄り添うには、「表情が曇っている」「なんとなく元気がない」など、言葉に出ないサインをキャッチすることがとても重要です。特に、思春期や感情表現が苦手な子ほど、何気ない仕草や空気感に本音がにじむこともあります。
そうした微細な変化に気づくには、まず大人が「聴く姿勢」を整えることが大切です。「ちゃんと聴いているよ」というメッセージを、言葉だけでなく、うなずきや表情でも伝えるよう意識すると子どもにも安心感が生まれます。
また、不安や悲しみを抱えている子には、共感の言葉を返したり、無理に話させようとさせたりせず、静かに待つ時間を持つのも効果的です。安心できる雰囲気の中で「自分の気持ちを受け止めてもらえた」と感じられれば、子どもは少しずつ心を開きやすくなります。
一人ひとりと丁寧に向き合うことが、信頼関係を深める第一歩です。
子どもの自己肯定感を育てるには、「できた!」という小さな成功体験の積み重ねがとても大切です。
例えば整理整頓や簡単な作業など、達成しやすい目標を“スモールステップ”で設定し、「よくできたね」「頑張ったね」と肯定的な言葉をかけることで、「自分にはできる」という感覚が少しずつ身についていきます。
養護教諭としては、保健室での何気ないやり取りや健康相談の場面を活かし、そうしたポジティブなフィードバックを意識して行うことがポイントです。「できたね」「前よりもうまくできてるよ」といった具体的な声かケガ、子ども自身の成長実感につながります。
さらに、失敗や悩みに直面したときこそ、「じゃあ次はこうしてみようか」と励ますことで、挑戦やつまずきを前向きに捉える力も育まれます。
子どもと日頃から丁寧に関わり、信頼関係を築いておくことは、養護教諭として欠かせない基盤です。信頼があることで、子どものちょっとした不調や心の揺らぎにも気づきやすくなり、早めの対応がしやすくなります。
例えば、登校時の表情や保健室での何気ない会話の中に、変化のサインが隠れていることも。そうした日常の観察を通じて、小さな異変を早期にキャッチできるのが、養護教諭ならではの強みです。
また、担任や保護者、学校医との間で信頼に基づくネットワークができていれば、ちょっとした変化もすぐに共有でき、未然にトラブルを防ぐことにもつながります。

養護教諭は、体調不良時の対応や健康観察といった業務だけでなく、長く安定して働ける職業としても注目されています。ここでは、公立校に勤務する養護教諭の待遇や制度面のメリットについて詳しく紹介します。
養護教諭として地方公務員に採用されると、定年(2032年度までに段階的に65歳へ引き上げ)まで、安定した職業生活を続けられます。有期雇用とは異なり、毎年の契約更新を心配する必要がなく、任期満了のリスクもありません。
給与は月給制で、地域や勤務条件に応じた各種手当、年2回のボーナスも支給される仕組みです。加えて、勤続年数に応じて少しずつ昇給していく年功序列の給与体系も整っており、将来設計がしやすいのもポイントです。
養護教諭として地方公務員に採用されると、産前6週・産後8週の「産前産後休業」を有給(給与全額支給)で取得できます。体調や出産準備にしっかりと向き合えるのは、安心できるポイントといえます。
さらに、育児休業は原則2回まで取得でき、子どもが3歳になる前日まで利用できます。仕事と子育てを両立しやすいよう、長期的にサポートされているのが特徴です。また、育休中は「育児休業手当金」が支給され、最初の6か月は給与の67%、それ以降は50%が保障されます。
そのほかにも、小学校入学前まで使える「育児時間休暇」や「短時間勤務制度」も整っており、勤務時間を調整したり、必要に応じて休暇を取ったりすることもできます。このように、教職員向けに整えられた制度はとても手厚く、ライフステージの変化にも柔軟に対応できるのが魅力です。
養護教諭として働く際は、「公立か私立か」「常勤か非常勤か」といった勤務先や雇用形態によって、条件が大きく変わってきます。
例えば、公立学校で常勤として採用されると、地方公務員扱いとなり、月給制・賞与あり・各種手当(地域・扶養・勤続など)も支給されるため、収入や待遇が安定しやすいのが特徴です。昇給制度や福利厚生も整っており、長期的に働きやすい環境といえるでしょう。
一方、非常勤で働く場合は時給制が一般的で、賞与はなく、勤務日数も限られがち。そのため、収入が不安定になることも少なくありません。なお、臨時的任用の常勤職員として働けば、月給制や手当の対象になるケースもありますが、任期付きであるため、年度末ごとに契約終了の可能性がある点には注意が必要です。
また、私立学校の場合は、専任(正規雇用)・常勤講師・非常勤講師など複数のポジションがあり、給与や賞与、副業の可否といった待遇も学校ごとに異なります。特に非常勤では副業OKのケースも多く、自分のライフスタイルに合わせて働き方を選びやすいのが魅力です。

養護教諭として働くには、どのような免許や進路が必要なのでしょうか。ここでは、資格取得までのステップや教員採用試験の流れなど、養護教諭を目指すために知っておきたい基本情報をわかりやすく解説します。
養護教諭になるための免許には、「一種免許状」と「二種免許状」の2つがあります。それぞれ、取得までの過程や学ぶ内容に少し違いがあります。
一種免許状は、主に4年制大学で所定の単位数を履修することで取得できます。教育課程では、幅広い教職関連科目に加えて、実習もしっかり行われるのが特徴です。一方、二種免許状は、短期大学や専門学校などで取得でき、大学よりも少ない単位数で時間と学費をかけずに取得が可能です。
なお、どちらの免許でも、養護教諭としての仕事内容に違いはありません。実際、採用試験においても、免許の種類だけで有利・不利が決まることはほとんどないとされています。
ただし、教育職員免許法では「二種免許を持つ人は一種免許への切り替えに努めること」と定められており、現場で働きながら単位を追加取得して一種へ移行する方も多く見られます。
また、給与面では、初任給に差が出る自治体もあり、大学卒業者(一種免許)のほうがスタート時点で高めになる傾向があります。
養護教諭を目指すには、教育職員免許法に基づいた「教職課程」の履修が必要です。
例えば、4年制大学で取得できる「養護教諭一種免許状」の場合、養護に関する専門科目(28単位)をはじめ、教育の基礎理解(8単位)、道徳・生徒指導(6単位)、教育実践(7単位)、大学ごとの独自科目(7単位)、そして共通で求められる「66条の6」の科目(8単位)など、合計で56単位以上の履修が必要になります。
一方、短期大学などで取得できる「二種免許状」の場合は、必要単位数が少し異なります。養護24単位・教育基礎5単位・道徳や生徒指導3単位・教育実践6単位・独自科目4単位に加え、66条の6科目(8単位)を合わせて、約42単位以上の修得が目安とされています。
なお、66条の6科目に含まれる「日本国憲法」「体育」「外国語コミュニケーション」「情報機器操作」などは、一種・二種いずれの免許状でも共通で必修とされています。
養護教諭免許を取得したら、次は公立学校の採用試験に挑戦する流れになります。
採用までのプロセスは自治体によって多少異なりますが、多くの自治体ではまず3月〜5月にかけて説明会が行われ、4月〜5月頃に願書の受付がスタート。その後、6月〜7月にかけて一次試験(筆記試験や小論文、教職教養など)が実施され、7月〜8月頃に合否が発表されます。
一次試験を通過すると、8月〜9月には面接や実技を含む二次選考に進み、9月〜10月に最終合格の通知が届くのが一般的です。合格者は採用候補者名簿に載り、そこから実際の採用へとつながっていきます。
合格後は、10月〜翌年3月の間に教育委員会との面談や研修、健康診断などが実施され、いよいよ翌年4月から正式に勤務がスタート。かなり長丁場の試験になるので、計画的な準備が欠かせません。
試験に向けては、出願前の情報収集に加えて、小論文や面接の対策も早めに始めておくのがおすすめ。特に志望動機や教育観を自分の言葉で話せるようにしておくと、面接でも落ち着いて対応しやすくなります。

養護教諭を目指す第一歩は、自分に合った学校選びから始まります。ここでは、養護教諭を目指すうえで知っておきたい進学先の選び方や、免許取得に必要な条件、学校ごとの特徴などを詳しく解説していきます。
養護教諭を目指すなら、まずは自分の希望に合った学校選びからスタートしましょう。
養護教諭の免許には「一種」と「二種」の2種類があり、それぞれ取得できる学校も異なります。一種免許は、教育系・看護系などの4年制大学に設置された教職課程で取得可能です。
一方で、二種免許は短期大学や専門学校での取得が主です。
また、学費やカリキュラム内容、実習の充実度、就職支援の体制などは学校によって差があります。なかには就職実績が豊富な学校もあるため、「どんな働き方を目指したいか」を考えたうえで、進学先をじっくり比較検討するのがおすすめです。
「養護教諭を目指したいけれど、どんな学校が自分に合っているかわからない…」
そんな方にとって、専門的なカリキュラムと高い就職実績を両立している学校は、大きな安心材料になります。
全国で唯一、2年制の専門学校で養護科を設置している横浜高等教育専門学校(横浜高専)では、応急処置や保健室運営、教員採用試験対策まで、実践的な内容を段階的に学べるのが特長です。少人数制での授業が中心なので、丁寧なサポートを受けながらスキルを身につけることができます。
また、在校生の約半数は社会人経験者。年齢や経歴を超えた仲間と切磋琢磨しながら学べる環境も魅力です。2023年の卒業生実績では、約81.5%が養護教諭や子ども関連の仕事に就いており、正規採用はもちろん、臨任・非常勤など幅広い形で夢を実現しています。
オープンキャンパスや在校生のリアルな声も積極的に発信されているので、進路選びの参考にもぴったりです。
「実践的に学びながら、着実に養護教諭を目指したい」そんな思いを持つ方は、横浜高専の学びを一度チェックしてみてはいかがでしょうか。
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