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小学校教諭として働く中で、将来に向けた資金計画を考えるうえで重要なのが「退職金」です。退職金は、地方公務員である教員に対し、退職手当法や地方公務員法に基づいて支給されるもので、勤続年数や退職理由、役職などにより支給額が変わります。
特に定年退職の場合は高水準の支給が見込まれ、2,000万円を超えるケースもありますが、自己都合や懲戒による退職では大きく減額または不支給となる可能性もあるため注意が必要です。また、再任用制度や私立との制度差、退職金の活用方法なども押さえておくことで、定年後の生活設計に役立ちます。
そこで今回は、制度の仕組みから金額の目安、キャリアとライフプランへの影響までをわかりやすく解説します。
目次
公立小学校教諭の退職金制度は、「地方公務員法」に基づいて支給される公的な制度です。支給の対象や金額は、勤続年数や退職理由、役職などにより大きく異なります。ここでは、制度の基本構造や支給対象、退職理由ごとの支給額の違いについて、初めての方にもわかりやすく解説します。
公立小学校の教諭に支給される退職金は、「地方公務員法」に基づいた制度によって成り立っています。教員は地方公務員として位置づけられているため、退職金の算定も地方公務員のルールに準じます。
支給額は一律ではなく、勤続年数や退職理由、退職時の給与額や役職など、さまざまな要素によって決まる仕組みです。特に、定年退職や勧奨退職など公的な理由による退職では支給率が高く、自己都合退職の場合は支給額が抑えられる傾向があります。
退職金の以下の基準で支給されます。
退職金=基本額(※1)+調整額(※2)
※1基本額:退職時の月給に支給率を乗じた金額
※2調整額:職員の区分、勤続年数や退職理由で変動する金額。(最大60カ月分)
基本の支給率は自治体で早見表を公表しているので気になる方は見てみてください
参考)宮城県の早見表
調整額は自治体ごとに職員の区分で支給する額が異なります。支給最大月数は60カ月分で
自己都合退職の場合、勤続年数が9年以下の調整額は0円(支給なし)、勤続年数が10~24年の調整額は1/2の支給割合となります。
退職金は、原則として常勤で一定期間以上勤務した小学校教諭が対象です。基本的には、在職期間が1年以上であることが条件となります。ただし自治体によっては6か月~1年未満も1年とみなされるところもあります。
臨時的任用教員(臨任)の場合は、6か月以上の任用期間で支給されます。実際に横浜高等教育専門学校の卒業生でも臨任として小学校教諭として働いている方は多いですが、任用期間終了後に退職金が支給されているという話はよく聞きます。
ただし、懲戒免職や失職といった特別な退職理由に該当する場合は、退職金の支給は行われません。安定した退職金を受け取るには、常勤として継続的に勤務することが大切です。
退職金の支給額は、退職理由によっても大きく異なります。小学校教諭をはじめとする公立教員の場合、「定年退職」「早期退職(勧奨退職)」「自己都合退職」「懲戒退職」などに区分され、それぞれに応じた支給率が定められています。
退職理由での支給率は自治体で「退職金はどのような制度で支払われるのか」で示した早見表に掲載されているので参考にしてください。退職金を多く受け取るという意味では定年退職は支給率が最も高く、25年以上勤続しての退職金は2,000万円を超えることもあります。一方、自己都合による退職では上記で説明した通り支給率が抑えられます。退職金の金額だけに着目すれば小学校教諭のような地方公務員は長い勤続年数を経て定年退職することが最も経済的メリットを受け取ることができます。
退職金の額は、勤続年数や退職理由によって変わります。小学校教諭を定年まで続けるべきか早期退職もしくは転職等の自己都合退職を選択すべきか、そのときの自分の状況によりますが、ここでは横浜市モデルケースを紹介します。
<23歳(勤続3年) 自己都合退職>
月給:約246,000円
支給率:1.5066ヶ月
調整額:0円
246,000円×1.5066ヶ月=370,623円(約37万円)
<30歳(勤続10年) 自己都合退職>
月給:約287,000円
支給率:5.022ヶ月
調整額:32500円×30か月
287,000×5.022+32,500×30=2,416,314円(約240万円)
<60歳(勤続40年) 定年退職>
月給:約450,000円
支給率:47.709ヶ月
調整額:95,400円×60か月
450,000×47.709+95,400×60=27,075,607円(約2700万円)
<重要な注意点>
調整額の仮定: 上記の計算で用いた調整額は、横浜市の退職手当条例にある調整額の区分を予測して計算しています。実際の教員の職務等級や在職期間によって、この金額は変動します。
給料月額: 提示した給料月額はあくまで仮定であり実際の給料月額とは差異がある可能性があります。
参照)横浜市給与モデル
参照)横浜市退職手当条例
小学校教諭として定年まで勤務した場合、退職金は最大額に近づきます。例えば、上記で示したように専門学校卒業後、勤続40年で定年退職した校長の場合、平均で2,700万円を超える退職金が支給されると予測されます。
これは、月給や役職、勤務年数がいずれも高水準であったことから、支給率や調整額が大きく反映された結果です。逆に3年など勤続年数になってくると、そもそも支給されない可能性もあるので期待はしない方が良いかもしれません。10年程度の勤続年数であればまとまった額になるので転職や次のステージへの挑戦などの助けになるかもしれません。
このように、長期間にわたり責任ある立場を全うした場合、公立教員の退職金は高水準となり、教職における定年退職の経済的なメリットは大きいといえます。
小学校教諭が早期退職や自己都合による中途退職を選んだ場合、定年退職と比べて退職金が大きく減額される可能性が高いです。支給率は退職理由に応じて異なり、特に自己都合退職では支給率が低く設定されているため、勤続年数が短いと調整額が支給されない、あるいは半額程度にとどまることもあります。
上記で示したように勤続年数が3の場合は、約37万円もしくは退職金が支給されないケースも考えられます。このため、退職金を期待しての退職は慎重な判断が必要です。
また「早期退職制度」という自己都合退職よりも支給率が優遇措置される退職制度がありますが、一般的には50歳以上かつ勤続20年以上というような条件があります。
20代や30代の転職のために利用できる制度ではないので覚えておくと良いです。退職制度の内容や支給条件は自治体によって異なるため事前に確認し、今後の生活設計も踏まえて検討しましょう。
最近では小学校教諭も定年退職後に再任用される場合が多くなっています。その場合でも退職金は原則として定年時に一括で支給されます。再任用されたことによって、退職金が取り消されたり減額されたりすることはありません。
また、再任用は有期雇用の扱いとなります。再任用期間についても退職金は支給される魅力はありますが、定年退職時のような高額の退職金は見込めません。あくまでも定年退職が一区切りとなり、再任用後の勤務は短期間の勤続年数並みかそれよりも少ないぐらいの退職金額になります。
退職金は教職人生の集大成であり、定年後の生活を支える資金源です。公立と私立では制度の整備状況や支給額に違いがあるため、それぞれの特徴を理解したうえで将来設計を考えることが欠かせません。住宅ローンや教育費との兼ね合い、受け取り方の選択など、ライフプラン全体を見据えた資金計画が求められます。ここでは、退職金を軸にしたキャリア設計と私学との比較ポイントをわかりやすく解説します。
私立学校の教員に支給される退職金は、勤務先ごとの就業規則や給与体系に左右されます。公立教員の退職金が法律に基づき一定の基準で算出されるのに対し、私立では制度が未整備の学校もあり、そもそも退職金が支給されない可能性も0ではありません。
支給額には幅があり、おおよそ1,800万〜2,300万円程度が目安とされています。基本給が高めに設定されている学校では、退職金も相応に高額になる傾向がありますが、それでも公立教員を上回るとは限りません。
一方、公立教員の場合は、定年や退職理由に応じて支給率が明確に定められており、勤続年数に応じた安定的な支給が見込まれます。
退職金は老後の生活資金として重要な役割を担う一方で、現役時代からの資金計画にも深く関わってきます。特に住宅ローンの返済や子どもの教育費といったライフイベントにかかる支出には、計画的なバランス設計が欠かせません。
例えば、退職金を住宅ローンの完済や子どもの進学費用に充てる家庭もありますが、その結果として老後の生活資金が不足するリスクも念頭に置く必要があります。
将来の年金受給額や、再任用制度による収入の有無なども含めて、長期的な資金シミュレーションを行うことが重要です。教育費と住宅ローンの負担が重なる時期こそ、退職後の生活を見据えたライフプランを立てることで、安心した定年後を迎えられます。
退職金の受け取り方には、一括で受け取る方法と、年金のように分割で受け取る方法の2種類があります。
一括受け取りは、住宅ローンの完済や子どもの進学費用などに充てやすい点が魅力ですが、使いすぎに注意が必要です。一方で、年金方式を選べば、老後の生活費として安定的な収入が得られるというメリットがあります。
老後の収支バランス、健康状態、家族構成などを踏まえ、自身に合った受け取り方を検討しましょう。また、長寿化や物価上昇といったリスクも見据え、退職金の一部を運用に充てるなど、将来を見据えた計画的なライフプランを立てることが大切です。
教職を目指すうえでは、教育に対する関心や志だけでなく、将来の待遇や働き方についても理解しておくことが欠かせません。横浜高等教育専門学校では、長期的な視点を踏まえた進路相談を実施しており、自分に合ったキャリアの築き方を丁寧にサポートしています。
教職を目指すうえでは、教育への情熱だけでなく、将来の待遇や働き方についても理解しておくことが重要です。特に退職金制度は、定年後の生活資金に直結するため、あらかじめその仕組みを把握しておくと安心です。
あわせて、給与水準や勤務形態、定年延長制度の有無、再任用制度の活用可否といった要素も、長期的なキャリア設計に大きく影響します。進路を選ぶ際は、こうした情報を総合的に捉え、自分のライフプランに合った働き方を検討する姿勢が求められます。
横浜高等教育専門学校では、教職の現場に即した進路相談を通じて、将来を見据えた選択をしっかりとサポートしています。
横浜高等教育専門学校では、小学校教諭を目指す方に免許の方法から小学校教諭として就職するまでの個別相談なども受付ています。ヨコセンには高校新卒者~社会人経験者まで幅広い年齢層の方が入学してくるため、それぞれの立場に寄り添った対応を心がけています。
また、教員採用試験対策や就職支援も充実おり教員採用試験の現役合格を目指せる体制が整っています。小学校教諭を本気で目指したい方にとって、2年間で教員免許が取得できる横浜高等教育専門学校は学校選びの選択肢の一つになると思います。
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